プチメタ3.0

刺激を受けた物事に対する感想や考察、資産運用や英語学習、自己成長に関することなど。


影と実体が協力しながら道を切り開いていくアクションが新鮮


store-jp.nintendo.com


光と影をうまく使ったアクションパズル「Shady Part of Me」は
なかなかに新しい視点で楽しませてくれる作品だった。




最初にプレイするのは、すべて影で表現された世界で
障害物を突破していくジャンプアクションだ。
シンプルな操作でジャンプの滞空時間も長く、
ミスしてもすぐに時間を巻き戻せるのでそこまで難しくはない。




一見、2Dゲームのように思えるが、
実はこの影は立体構造に投影されたものなのだ。
壁面に映った影が見えるよう
カメラが滑らかに移動していくのが気持ちいい。




しばらく進むと、今度は立体空間の中で
少女を操作する形の3Dゲームに変わる。
この少女は光を浴びると消えてしまうため、
光が遮られた暗い場所しか進むことができない。




本作はこの2つのキャラクターを切り替えて進んでいく。


影の中にいる主人公が進めない場合、
少女を操作して足場となる影を作り出してやるのだ。
光源との位置によって影が変化したり、
影を作ろうとすると自分が進む道が閉ざされたりするので
互いの置かれた状況をよく見ながら操作していく必要がある。


光と影を使ったアイデア自体はよくあるのだが、
そういった題材をうまく料理しつつ
適度な難易度のアクションに落とし込んでいるところが素晴らしい。

初代スーパーマリオにはゲーム作りの極意が詰まっている


www.nintendo.com


マリオが登場するゲームはさまざまなものがあるが、
1985年にファミリーコンピュータ向けに発売された
スーパーマリオブラザーズ」は
40年近く経った今振り返っても、とにかく素晴らしい完成度だ。


ゲーム開発を実際に経験したり、
いろいろなゲームのセオリーを勉強すればするほど、
この初代スーパーマリオのゲームデザインが
めちゃくちゃによくできていることがわかる。


本作の設計がいかに優秀なのかを複数の視点でまとめてみた。

ゲームのルールを自然に理解させる工夫


ゲームを開始したばかりの画面。
これだけでも非常に考え抜かれていることがわかる。


ここでは画面が一定以上スクロールされないと
最初の敵が出現しないようになっている。
つまり、マリオが先へ進まない限り、
プレイヤーは安全が確保された状態で
コントローラーの操作を確認できるのだ。




また、画面中央に対してマリオが左に配置され、
なおかつマリオの顔が右を向いていることから
進行方向は右なのだと感じ取ることができる。




仮に左方向に進もうとしても画面端にぶつかるので
ゴールがどちらにあるのかが自然と理解できる。




しばらく進むと敵であるクリボーが出てくるが、
この敵は飛び越えるか踏みつける必要がある。


地面を歩いたまま進むとぶつかって死んでしまうため、
プレイヤーは試しにいろいろとボタンを押してみて
マリオがジャンプできることを学ぶのだ。




ジャンプすることを覚えたプレイヤーがしばらく進むと
チカチカと点滅するブロック(ハテナブロック)が目に入る。
人間は短時間で変化するものに注目する習性があるので
ここで「あれはなんだろう?」と思わせることができる。




1つ目のハテナブロックにジャンプでぶつかると
「チャリーン!」という小気味よい音が響き、
ハテナブロックを下から突くという行為が正解であることを理解する。




2つ目のブロックからは本作の醍醐味でもあるキノコが出てくるが、
初めてのプレイヤーはキノコが取るべきアイテムかどうかも知らないし、
勝手に移動していくキノコを
右側から回り込んで取るなんて芸当も難しい。


ここで素晴らしいのが土管の絶妙な配置だ。
ブロックから出てきたキノコは右方向に進んだあと、
土管に跳ね返ってマリオのもとまでやってくる。
そしてマリオは初めて巨大化するのだ。


つまりプレイヤーはこの場面で
「キノコは勝手に進んでいってしまうこと」と
「キノコを取ると大きなマリオに変化すること」を学習する。




小さいときにはボコッという音がするだけで
ただ浮かせることしかできなかったレンガブロックも、




大きくなったマリオなら粉々に破壊できるため、
「大きくなる=強くなる」という正しい理解が進む。




また、最初のステージをクリアしたあと、
1ー2では強制的に地下ステージに移動するが、
ここでプレイヤーは土管に入れることを知る。
今まで見てきた土管はただの飾りではなかったのだ。




そのため、2回目のプレイでは
最初のステージである1ー1の土管にも
「もしかして入れるのでは」と考えるようになる。
以前よりも知識が増え、上達した実感が得られる気持ちのいい瞬間だ。


説明書を熟読しなくても自然とゲームのルールを理解し、
どういう行為が推奨されているか学ぶことができる。
これこそ初代スーパーマリオのデザインの素晴らしさだ。

滑らかに難易度が上がっていく工夫

ゲームである以上、ステージが進むにつれて徐々に難しくなっていくわけだが、
単に難易度を上げるのではなく
プレイヤーに自然な上達を促す工夫が重要だ。
この点に関しても初代スーパーマリオは素晴らしい。




ステージ序盤の土管の向こうにいるクリボーは1匹だが、




次の土管の先では2匹続いて登場する。




さらに進むと上から連続で落ちてくる。
敵との距離感や踏みつけるタイミングを何度も味わわせつつ、
自然な流れでプレイヤーを訓練するのだ。




中盤で登場する階段状のブロックでは
たとえスキ間に落ちても特に問題はないが、




その次に登場する同様のブロックでは
真ん中の部分が奈落になっている。
操作する難易度は特に変わらないのだが、
「失敗すると死ぬ」という緊張感がヒヤヒヤさせる。




同じような構成は終盤のステージにもあり、
足場の高さや幅は何も変わっていないのに
より緊張感が大きくなるようになっている。




また、敵と接触したときには一瞬だけ画面を静止し、
ミスしたときの状況がどうだったかをプレイヤーに認識させる。


「確かに敵に当たっている」ということをちゃんと見せることで
自分のミスを自覚させるとともに、
「ジャンプが低かった」「操作が遅かった」など
上達するための反省材料を与えることができる。


理不尽に難易度が上がればプレイヤーは投げ出してしまうし、
なかなか難易度が上がらないと退屈して作業感が出る。
初代スーパーマリオはこの辺のバランスが絶妙なのだ。

少ないデータ量で多彩な表現に見せる工夫

初代スーパーマリオはファミコン用として作られたが、
当時はハード的・コスト的な制限もあり、
とにかくデータ容量を抑える必要があった。


画面上に出せる色は20種類程度に限定されており、
0番は赤色、1番は黄色というように
各番号がどういう色かを「パレット」という情報でまとめていた。
そのため、パレットの中の色情報を変更することで
同じ画像でも色の違う状態にすることができた。
(ドラクエで色違いのモンスターが登場するのも同様の理由だ)




点滅するハテナブロックも実は画像データはそのままに
パレットで定義された色情報を変えているだけなのだ。





ファイアーマリオになったときも
普段のマリオの色を変えているだけだし、1UPキノコも同様だ。




スターを取って激しく点滅するマリオも
実はデザインや画像データは一切変わっておらず、
色情報を短時間で置き換えているだけ。




ステージ1ー2で背景ブロックや敵キャラの色を変えて
地下の暗い雰囲気に見せてしまうというアイデアも見事。




また、背景の雲と草が実は色を変えただけで
同じ画像を使っているのだということに気づいただろうか。
こういった血の滲むような工夫を重ねて
あんなにもバラエティ豊かなステージを表現しているのだ。


初代スーパーマリオの全容量はたったの40キロバイト。
プログラムとグラフィックとサウンドをすべて足して、たったそれだけ。




現在のデータで例えるとこの大きさの写真ぐらい。
このわずかなサイズの中に全64ステージ+αが詰まっていたのだ。

直感的で気持ちのいい触り心地の工夫


マリオのジャンプはボタンを押している長さによって高さが変わる。


本来、ジャンプの勢いは地面を蹴った瞬間の強さで決まるので
飛び上がったあとに何をしても最高到達点に変化はないのだが、
マリオではおそらくボタンを押している間だけ重力の影響を小さくして
減速する度合いを少なくしていると思われる。


ボタンを押していると空中でもうひと伸びする感覚が気持ちよく、
ついついボタンを強く押してしまうところに
マリオの操作感の良さが表れている。




マリオは左右の動きにも慣性がついていて
同じ方向に移動し続けていると加速するが、
それに伴って歩くアニメーションも早く変化するところがうまい。


Bダッシュをしたときにシャカシャカと手足が回る必死な雰囲気や
方向転換したときに急ブレーキがかかる感じなど、
とにかく触り心地が素晴らしいのだ。




クリボーを踏みつけたときもただ消すのではなく、
ちゃんと縦につぶれた画像に差し替えることで
踏み潰した感覚が味わえるようになっている。




各ステージの最後には階段状のブロックがあり、
ギリギリから助走して跳ぶことで旗の高い位置に飛びつけるが、
マリオは得点を競うタイプのゲームではないため、
この行為には特に意味がない。


それなのに大半の人が大ジャンプに挑戦してしまうのは
「高いところに飛びつくことができると気持ちいい」という
ただそれだけの快感が提供できているからなのだ。

すべてのゲーム開発者がプレイすべき教科書

store-jp.nintendo.com


今の環境なら任天堂公式のサービス「Nintendo Switch Online」を契約し、
その中の「ファミリーコンピュータ」を無料ダウンロードするのが
初代スーパーマリオを一番楽にプレイできる方法だろう。


ファミコンの初期に発売されたゲームということもあり、
プレステ全盛期に生まれた最近の若者には
初代マリオをほとんど知らなかったりする人もいるだろうが、
今プレイしても本当に見習うべき要素ばかりなので
ゲーム開発に関わる者ならすべからくプレイして欲しい。



mclover.hateblo.jp

mclover.hateblo.jp

ヘビ特有の遊びが詰まったアクションゲームが新感覚だった

f:id:IKUSHIMA:20210515221841j:plain
store-jp.nintendo.com


ヘビを主人公にしたアクションゲーム「Snake Pass (スネークパス)」が
まさにヘビの特徴をそのままゲーム化した新感覚の仕上がりだった。



f:id:IKUSHIMA:20210515222054j:plain


単に前進用のボタンを押すだけでは
胴体が真っ直ぐに伸びてしまって
非常にゆっくりとしか進めないが、



f:id:IKUSHIMA:20210515222102j:plain


スティックを操作してクネクネと向きを変えるようにすると
グッと速く進むことができる。
胴体の縞模様がズルズルと流れる様子がまさにヘビっぽい。



f:id:IKUSHIMA:20210515222439j:plain


アクションゲームでは当たり前のジャンプ操作がないのだが、
頭を持ち上げて棒に絡みつくようにすると
高いところに行くこともできる。


このときも長い胴体が足場に絡むように動かないと
前に進むための踏ん張りが効かなくなるので結構難しい。



f:id:IKUSHIMA:20210515222447j:plain


慣れると垂直な柱をどこまでも登れるようになるし、



f:id:IKUSHIMA:20210515222456j:plain


螺旋状に絡みついて足場から落ちないように動くこともできる。
落下死する場所が多いが、チェックポイントが近くにあるので
こまめにセーブするよう工夫することはできる。



f:id:IKUSHIMA:20210515222611j:plain


いかにもインディーゲームといった着眼点で、
他の作品とは違った感覚が味わえるのが新鮮だった。

リトルナイトメア2が前作以上の良作ゲームに仕上がっていた

f:id:IKUSHIMA:20210227231354j:plain

リトルナイトメア2|オンラインコード版

リトルナイトメア2|オンラインコード版

  • 発売日: 2021/02/23
  • メディア: Software Download

先日紹介した「リトルナイトメア」の続編、
リトルナイトメア2」がつい先日発売されたが、
前作に引き続き、非常にデキがいい。



f:id:IKUSHIMA:20210227231524j:plain


敵のデザインは相変わらず秀逸で、
対抗する手段のない弱々しい主人公に
よくこんな怖いことを強いるなぁ、と感心するばかり。
強敵がすぐそこまで迫っている感覚がめちゃくちゃに怖い。



f:id:IKUSHIMA:20210227231719j:plain


ライティングとカメラワークを活かした絵作りが非常にうまく、
どの場面を切り取っても
そのまま絵本になりそうな仕上がり。



f:id:IKUSHIMA:20210227232154j:plain


限られたアクションで状況を打開していく謎解きだが、
無関係なところには行けないよう工夫されているので
しばらく悩めば解けることがほとんど。


初見殺しのシーンが多いものの、
前作と比べて瞬時にリトライができるようになり、
チェックポイントの間隔も短めになったのが非常にありがたい。
(死ぬたびに「ハッ!」と悪夢から覚める演出が素晴らしい)



f:id:IKUSHIMA:20210227232843j:plain


世界観は共通しているが、前作を未プレイでも
特に問題なく遊べるゲーム性なので、
シンプルなアクションと謎解きが好きな人はぜひ挑戦して欲しい。



mclover.hateblo.jp

孤独感に耐えながら進んでいくアクションゲームにハラハラした


先へと続く出口を見つけながら進んでいくホラーアクションゲーム、
リトルナイトメア」がなかなかに白熱した。


画面の奥に見える敵の目から逃れつつ
障害を突破していく様子は
以前紹介した「INSIDE」のプレイ感に非常に似ている。


mclover.hateblo.jp


壮絶な死の瞬間を何度も見せつけられる「INSIDE」と違って
本作では直接的な死はあまり描かれないが、
敵から受ける恐怖感はこちらの方が上。


音を立てながら迫ってくる異様な姿の敵に対して
とにかく逃げ隠れするしかない圧倒的な弱者感があり、
ひたすら逃げ込むところ探してウロウロする状況に恐怖した。
エリアごとに固定されたカメラも
位置と向きが絶妙に調整してあって素晴らしい。




ただ、何度も死にながら試行錯誤するゲーム性なのに
リトライ時の待ち時間が長めなのは残念。


「4時間ほどのボリューム×2キャラ」に対して
3000円超えの価格はやや高めだが、
やりごたえと充実感が高くて満足できた。



mclover.hateblo.jp

総アクセス数