プチメタ3.0

刺激を受けた物事に対する感想や考察、資産運用や英語学習、自己成長に関することなど。


はじめて1人で東京に行って50万円もらってきた話<後編>


中編からのつづき

その42

スクリーンに優秀賞のゲーム画面が表示される。
対戦型パズルゲームだ。
ルールはよく知らないが、ボーッとした気持ちで眺める。
大賞が決まった途端のこの安らかな気持ちはなんだ。


「それでは優秀賞を取った小沼さんに
 コメントをいただきましょう!」


司会が紹介すると、隣のチームの1人がステージに出て行った。


いきなりマイクを渡されている。


「この作品は10年ほど前に企画書を……」


おおっ、いきなりマイクを渡されて
そんなにスラスラとしゃべれるもんなのか。
やっぱりこの人、単なる素人じゃないんじゃないか。


そして上の大スクリーンにも中継が。スゴイ。


コメントが終わるとCESAの会長から目録とトロフィーが渡された。
すごいフラッシュの量。後ろの席にはこんなに報道陣がいたのか。


そして受賞者がステージから下り、
再び周囲が暗くなる。


「続いて、いよいよ大賞の発表です!
 第8回 CESA GAME AWARDS INDIES、
 大賞は……………」



「バーガーメーカー!!」


うおおおおぉぉぉ!!知ってたけど嬉しいー!
やっぱり間違いなく大賞だったー!
受賞しただけで嬉しかったし、
大賞とか優秀賞とかこだわらないつもりだったけど
実際に大賞を受けると普通に嬉しいじゃないかーー!


「『バーガーメーカー』は
 上から落ちてくる10種類の素材を……」



司会の人がゲーム内容の紹介をしている横で
ゲーム画面がスクリーンに映し出される。



間違いなく私の作ったゲームだ。
私の描いたバーガーが並んでいる。
私の描いた客もいる。


この映像も応募したときのVHSテープの画像そのままだ。
こうやって紹介されるんだったら、
もっと華麗にプレイすべきだった


普通のVHSテープだし、新品でもない。
映画かなんかを保存してたビデオテープをダビングして
余ったやつを消去した中古テープだ。


思い切りでっかく表示されちゃって、
画像の乱れとか画質の悪さがモロにわかる。あちゃー。

その43


「それでは大賞を取った生島さんに
 コメントをいただきましょう!」


いよいよだ。
その場で立ち上がり、ステージに向かう。


日頃の授業で大勢の前でしゃべるのには慣れているはずだが
今日に限っては久しぶりに緊張している。ヒザが震え気味なのがわかる。
もしかして右手と右足が一緒に出てるんじゃないのか。


ステージに上がるとスタッフの女性に案内され、
床にテープが×印に貼っているところに立つ。


そしていきなりマイクが渡される。


さっき、急いで考えた制作エピソードを話すことにした。


「私は普段、専門学校でプログラミングの授業をしております。


 実はこの作品を作ろうと思ったきっかけは、
 学生にゲームの作品を作るという課題を出すのですが、
 その課題の制作時期に学生から相談を受けまして、
 『何かいいゲームのアイディアないですか』と言われて、
 『ハンバーガーをバラバラにして
 組み合わせてメニューを作るというのはどうか』と言ったら、
 イマイチ受けが悪くて
 『面白くないんじゃないですか』と言われてしまったんです。
  じゃあ自分で作ろうということで作りました。


 10種類のメニューをハンバーガーとして考えるんですが、
 中に含まれるレタスなどの素材を
 あまり増やしすぎるとややこしくなりますので、
 限られた素材で10種類のバーガーを考えるのがものすごく大変で、
 ファーストフードショップのホームページをひたすら見て、
 メニュー一覧やCM動画を見ながら開発を進めていきました。


 どうもありがとうございます」


あとから見ると文章としておかしい部分がいくつかあるが、
その時は強い照明で客席側がまったく見えず、
非常に緊張した状態で夢中で話した。


ちょっと長くしゃべりすぎたかも、と思ったが
作品に関するコメントとしてはどれも外せなかったのだ。
作った側としては開発エピソードなんていくらでもしゃべれる。
こだわった部分や苦労した部分をもっともっと聞いてもらいたかったが
式の空気を乱さないうちに終わっておいた。


実際に参考にしたハンバーガーはマクドナルドのものなのだが、
こういう場で特定の企業名を出すのはまずいかもしれないと咄嗟に思い、
「ファーストフードショップ」という使い慣れない言葉に置き換えた。

その44

コメントが終わると、優秀賞のときと同じく
CESAの会長から目録とトロフィーを受け取る。


それらを受け取る瞬間は本当に嬉しくて、達成感にあふれた。


「ありがとうございます!」


会長に向かって小声で言った私の言葉は
まさしく心の底から出た言葉だ。


会長から手を差し出され、握手をする。
その瞬間、客席からフラッシュが光りまくった。


私がお礼を言ったまま会長を見ていると、


「あっち向いて」


と会長が小声でつぶやいた。


そうか。写真のことを考えたら2人でカメラの方を向くべきなのだ。
よく政治家同士がニュースや新聞でやってるじゃないか。



目をそらすのは失礼かと思って、普通に会長ばかり見ていた。
いきなりカメラを意識すべきとわかって急いで客席に振り向き、
マヌケな格好になってしまった。


大賞のトロフィーは上に行くほど太くなるデザインで
透き通ったクリスタル風のものだ。
ズッシリと重い。
そして土台のプレートに「大賞 バーガーメーカー」と刻まれている。


私の作ったゲームの評価が形として今、手の中にある。
この重さは苦労の重さだ。努力の重さだ。
ゲームを作り続けて本当によかった。


うっかり落とさないように大切に持ちながら、ゆっくりと席へ戻った。

その45

つづいては「GAME AWARDS FUTURE」だ。
まだ発売されていない開発中のゲームソフトで
期待が大きいものに贈られる賞である。


この賞に関してはノミネートの発表などは抜きに、
いきなり受賞作品が紹介されていく。
「グランツーリスモ」や「ドラゴンクエスト」など
名前の知っているゲームばかりが並んでいる。


どれも紹介用に用意したムービーらしく、
中古のVHSテープに録画した私の作品とは
あまりにもクオリティが違う。


11作品のタイトルが読み上げられ、それぞれのクリエイターが
ステージに上がっていった。
INDIES部門と違って受賞者が多い。


自分の出番が終わると非常に気楽だ。
1人のゲームユーザーとして単純に紹介ムービーを楽しむ。


受賞者全員がステージに上がると今度はトロフィーが渡されていく。
11人もいるので割と簡易的だ。
その後マイクが渡され、一人一人にコメントをもらう。


こういう場に慣れている人が多いのか、
どの人も緊張する様子もなく、スラスラとコメントする。


しかし、プロのクリエイターとはいえ、見た目はごく普通の人だ。
この人が実際に作っているわけだが目の前で見ても実感がわかない。


「それでは『ドラゴンクエスト8~空と海と大地と呪われし姫君~』の
 代表の方、よろしくお願いします」
「どうも、堀井です」


堀井?


思わず胸が震えた。


「堀井」って「堀井雄二」じゃないのか?
ドラクエのシナリオやゲームデザインを
ファミコン当初から手がけてきた、あの堀井雄二じゃないのか?
ファミ通をはじめ、ゲーム雑誌でもしょっちゅう見かける顔だ。間違いない。


思えば15年以上前、「ドラゴンクエストへの道」というマンガを読み、
ドラクエが生み出される苦労や努力に大きな衝撃と感動を受け、
その主人公、中村光一と堀井雄二の2人に強く憧れたのだった。


mclover.hateblo.jp


その堀井雄二が今、目の前にいる。


ずっと同じ空間にいたのだ。
つまり、バーガーメーカーの紹介も見ていたはずなのだ。
ドラクエスタッフはすぐ隣の席だし、数席離れたイスに座っていたのだ。


一般のゲームユーザーが
堀井雄二に出会えた時の感動とはまた違う。
小学生の頃からずっと憧れていたクリエイターに
15年越しで会えたのだ。


この気持ちは当時、一緒に
ゲーム作りについて熱く語った友人しかわかるまい。


ゲームを作り続けて、
ついに同じ空気を吸えたこの感激は。

その46

そのあと紹介された「メタルギアソリッド3」では小島秀夫さんを見た。
名前を聞くまでわからなかったが
確かに雑誌で見た、あの顔だ。


次に、「CESA GAME AWARDS 2003-2004」、
つまり一番メインの賞の受賞作の発表があり、
最終的には1時間半ほどで授賞式が終わった。


予定ではこれから懇親会なのだが、受賞者に関しては
その前にフォトセッション、つまり写真撮影がある。


ステージの照明がぐっと明るくなり、受賞者が並んでいく。
こんなにいたのかというぐらいの数のカメラマンが観客席の方に並び、
受賞者をより中央から撮るべく、ピラミッド型に隊列を組む。


撮影する側、される側がそれぞれが並び終わると
次々とフラッシュが光った。


「すいませーん、目線こっちくださーい!


おおぅ、業界っぽい。


カメラマンが声をかけると、全員がそのカメラに注目する。
何枚か撮り終えると今度は違うカメラマンから同じセリフがかかる。


そうやって、これでもかと写真が撮られた後、
今度はそれぞれの賞ごとの受賞者に分かれて撮影される。


我々、INDIES部門の時にはカメラマンがずいぶん少なくなったが
それでも今までの人生で一番写真に撮られた瞬間だった。


それが終わると今度は主催者側から写真撮影が求められた。
というのもINDIES部門は
競輪公益資金の補助を受けて実施されているらしい。
そのため、その証明としての写真が必要なのだ。



もしかしたらこのトロフィーや賞金も
競輪公益費から出ているのかもしれない。
個人的にギャンブルはしないけど、
競輪ファンの人、どうもありがとう。

その47

式が終わると、今度は隣の会場で懇親会となった。


立食形式になっていて、中央のテーブルから自由に料理を取って
歓談する場のようだ。
壁際に少しイスが置かれている程度で
ほとんどの人は立ったまま話をしている。


懇親会は自由参加となっているせいか、
式で見かけた大手メーカーのいくつかはすでに帰ってしまったようだ。


私は一応参加したが、話し相手がいないので非常に心細い。
いろんな人同士で積極的に話しているのかと思ったが、
各メーカーともスタッフ間で話をしているのが基本らしく、
知らない相手と話をしようという空気ではない。


端の方にはINDIES部門の受賞作品がプレイできるよう、
ノートパソコンが2台置かれていて、
それぞれ大賞と優秀賞のゲームが起動している。
説明書や応募時に同封した書類のコピーも置かれており、
もっと丁寧に書けばよかった、と少し後悔した。


再び主催者側のカメラマンから
制作者としてプレイしているところを写真に撮られた後、
居場所のない思いで
モソモソと料理を食べていた。味はよくわからなかった。

その48

懇親会というのに話す人もいないし、
食べるだけってのも非常に肩身が狭い。
そもそも回転寿司とホットドッグで全然お腹が減っていない。


とか思ってたら、フリーライターの方に話しかけられた。
独りでめちゃくちゃ居心地悪かったので、
わざわざ話しかけてもらえたのはかなり嬉しい。


今回のゲームを作ったきっかけや、苦労話をここぞとばかりに話した。
せっかく持ってきた名刺もここで初めて交換することができた。
20枚ぐらい持ってきたのに、そのままの数で帰るところだった。危ない。


フリーライターさんとの話が終った後、
今度は株式会社ユークスの人も
話しかけてきてくれた。


プロデューサー(開発担当執行役員)やディレクターという立場なのに
気さくに話してくれて、普段プロレスに興味のない私も
思わずゲームを買おうかと考えるぐらい印象がよかった。


片隅に展示されているバーガーメーカーもプレイしてくれたし、
こだわった部分にも納得してもらえた。ユークスさんは本当によかった。
この方たちとも名刺交換ができた。


この2組の方々との会話でずいぶん気が楽になった。
さっきまでとは違い、スッキリとした気持ちになっている。
懇親会が始まってから小一時間ほど経つし、
このあたりで帰ることにした。


トロフィーを預けていた受付に帰ることを告げると
保管用の箱と紙袋をもらえた。


よかった。
このまま素手でトロフィーを持って帰ることになったら
どうしようと思っていた。


ズシっと重いトロフィーを下げ、
あふれる満足感とともにエスカレーターを上がり、
そしてホテルを出た。

その49

ホテルを出ると携帯の電波がすぐに戻った。
早速、上司に今日のことを報告する。
出発前はわからなかった式の規模や、
大賞を取ったことを話した。自分が誇らしかった。


時刻は午後5時。
普段ならそろそろ仕事も終わろうという時間だが、
今日はこれから神戸まで帰らなければならない。


辺りも暗くなってきている。
さっきホットドックを食べたドトールの横を通り、
逆の順路で駅へ戻る。もうわかりきった道だ。
方向感覚には自信がある。
一度通った道を元に戻るだけならまず迷わない。


溜池山王から新橋へ。新橋から東京へと戻った。


帰りは6時半の新幹線だ。
多少遅くなっても間に合うように余裕のある時間を予約したが、
懇親会にあまり長居しなかったので、結構時間が余っている。


新幹線の時間を早めてもよかったが、
せっかく東京まで来ていながら一度も駅の外に出ていない。
新幹線側ではなく、一般の改札出口から外に出た。



もうすっかり夜。


東京らしい大きなビルばかりに囲まれている。
仕事帰りの人が大勢、東京駅に吸い込まれていく。


もちろん私も明日は仕事だが、その実感はない。
駅の周りをブラブラしたり、知人に電話したりしながら
長い時間を潰した。

その50

新幹線の時間が近づいてきたのでホームに向かう。
東京駅は自動改札だが、要領はすでにわかっている。
切符を2枚重ねて改札を通り、大阪方面のホームへ進む。
新幹線はまだ来ていないが、自分の乗る車両の位置まで進んだ。


しばらくすると新幹線が来た。
行きと違って、出発時間よりもずいぶん早めに到着する。



今度こそ、と写真を撮るが
シャッターを押すのが早すぎた。焦りすぎ。


すぐに乗ろうかと思ったが、どうやら折り返して大阪方面に向かうらしく、
車内清掃のために15分ほど乗車を止められた。
目の前で待たされると結構疲れる。


清掃が終わり、切符を見ながら指定席に座る。
もうこれで神戸まで直行だ。
だが寝るのはやめておこう。この列車は広島行きだ。
目が覚めたら広島だった、というのはシャレにならない。


窓の外も暗いし、もうさんざん見た景色だ。
カバンからゲームボーイを取り出し、スイッチを入れる。
ソフトは「逆転裁判3」だ。その開発者ともさっきまで一緒にいた。


このソフトもずいぶんプレイしている。本物の裁判並に長引いている。
少しでもクリアに近づこう。神戸まで、時間はたっぷりある。

その51

夜9時半。さすがに疲れてきたが、新神戸駅に到着。
これで「のぞみ」ともお別れだ。



最後の最後でちゃんと撮れた。でもブサイク。


もう降りる人も少ない。
他の人にとっては、ただの水曜の夜なのだ。
神戸まで来ると落ち着く。
慣れている土地というのはこんなに安心できるのか。


家まではまだ1時間以上かかるが、不思議と眠くはない。
少しハイになっているのか。
帰りの電車も普段なら座るために1本遅らせるが、
今日は立って帰った。


家までもうすぐ。トロフィーが重い。

その52

家に帰ると両親が出迎えてくれた。
ゲームのことはほとんど知らないが、
大賞を取ったことや、有名なクリエイターがそろっていたこと、
賞金ももらえたことを話した。


母親は特に喜んでくれた。
今日までの努力をより理解しているのかもしれない。
父親はあまりよくわかっていないようだが、
50万円という賞金に驚いていた。


両親を驚かせた後、次に驚いたのは自分自身だ。
インターネットをチェックすると、掲示板に受賞を祝う書き込みがある。
書き込み時刻を見ると、まだ私が家に帰っていない時間だ。


受賞したことは今日まで公表できなかったのに
私が発表する前に読者の方が知っている。なぜだ。


Googleで「CESA GAME AWARDS」を検索してみて驚いた。
ニュースサイトで今日のことがズラズラと書かれている。
時間を見ると一番早いので午後7時の更新だ。


ascii.jp

forest.watch.impress.co.jp

awards.cesa.or.jp

awards.cesa.or.jp


授賞式が終わったのが4時で、
写真も撮ったのもそれからなのにものすごく早い。
あの報道関係者はこういうニュースサイトにも関わっているのか。



普通のニュースサイトで自分の写真を見るのは
ものすごく興奮する。


ちなみに懇親会で話しかけてくれたフリーライターさんも
ニュースサイトなどに記事を書いている人だった。
わざわざメールで書いた記事について連絡をもらった。


夜11時を回っているが、興奮して寝ることができない。
自分のWebサイトの掲示板に
続々と書き込まれる祝福の言葉。止まらない。
知人からのメールも届く。


普段はあまり意識していなかったが、
報道関連のニュースサイトというのは、
やはり圧倒的な説得力や迫力を備えている。
CESAを知らない人やゲームに詳しくない人にも
受賞の規模ついて驚いてもらえたようだ。


不安ばかりの東京進出だったが、見返りは十分に大きかった。

その53

翌日。


いつもより夜更かししたはずなのに
気持ちはまだ高ぶっている。


職員室で教員同士の朝礼が終わると
すぐに学生が入ってきて受賞を祝福してくれた。
去年、授業を受け持っていた学生たちだ。


学生に告知するつもりはなかったが、
インターネットを利用している学生が
たまたまニュースサイトで見つけたようだ。


特にこの学年は私が目の前で
バーガーメーカーを作っているのを見ていただけに
不思議な感覚かもしれない。
中にはテストプレイやバグ発見に協力してくれた学生もいる。


同様にネットで情報をつかんだ卒業生からも祝福の連絡が届く。
卒業をきっかけに縁が切れてしまってもおかしくないのに、
在学中と変わらない様子でわざわざ連絡してくれるのが嬉しい。


自分のことかのように喜んでくれる反応が、
彼らの懐の大きさを感じさせる。
逆の立場なら、私は他人のことにここまで喜んであげられるだろうか。



そして東京から持って帰ってきたトロフィー。重かった。


受賞の喜びと興奮は胸に刻まれている。
このトロフィーはもうただの飾り。甲子園の砂みたいなものだ。


記念ということで職場である学校に寄贈した。

その54

さらに翌日。


仕事が終わったあと、ドキドキしながら銀行のATMへ向かう。


通帳の記帳をしに行くのだ。今日が賞金の振込み予定日になっている。
正直、ここまで騒ぎが大きくなってしまったら
実は賞金が手に入らなかった、なんて言い出せない。
万が一、振り込まれていなかったとしても
無事に賞金を受け取った受賞者を装って生きていくことになるだろう。


普段、月末で混んでいるこの時期にATMに寄ったりはしないが
今日はおとなしく列に並ぶ。


やっと自分の番になり、ドキドキしながら通帳を差し込む。
カリカリカリと古臭い印字音を立てながら
通帳に入出金履歴が書き込まれ、デロリ、と吐き出された。


一番新しい項目を確認する。


50万円とったどー!濱口優風に)


さりげなく書かれた「入金 500,000」の文字。
帰り道、「フヘヘ」と何度も思い出し笑いをした。

その55

あっ、よく考えたら交通費ってどうなったんだろう。


往復で3万円ぐらいかかったけど、
結局もらう機会を失ったままだ。


でも、大賞ももらったし、
賞金47万円(交通費を差し引いた分)ももらったし、
それ以上の達成感ももらった。別にいいか。

その56

後日談。



週刊ファミ通 2004年11月19日・11月26日合併号




17ページ。受賞作リスト。






バーガーバーガー


ファミ通ぅぅぅぅぅうううううう!!

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