CEDECはゲーム業界の技術交換会
ゲーム業界の関係者にはよく知られているが、
「CEDEC(セデック)」というゲーム関係の技術交換会が
毎年、8月末~9月頭に横浜で開かれる。
一般的にゲーム開発のノウハウは企業秘密となるが、
それぞれの会社が似たようなことを試行錯誤するよりも
よりよいゲームを作るための成果を発表し合って
業界全体のクオリティを上げていこうというのが目的だ。
3日間ほどのうちに会場内の各部屋で
並行して講義(セッション)が開かれており、
自分の興味があるところに入って聴く形になる。
各職種に関する専門技術だけでなく、
業務の進め方や宣伝面・運営面の工夫などもあり、
立場や職種に限らず有益な情報を得ることができる。
そのため、ゲーム会社で働く人だけでなく、
ゲーム開発について教える学校関係者や
ゲーム業界を目指す学生なども自由に参加することができ、
3万円ほどの入場パスさえ買えば
それぞれのセッションを誰でも見ることができる。
会場の混雑による不満が大きくなった
私も数年前から出張扱いで参加していたのだが、
会場のキャパシティに対して参加人数が多くなりすぎ、
セッションを聴く満足度よりも
さまざまな不満点の方が上回るようになってきた。
これは最近のCEDECに参加した人なら
みんな同じように感じているだろう。
そんな中、2017年から各セッションを撮影した録画が
開催後にしばらく公開され(「タイムシフト配信」と呼ばれる)、
参加パスを持っている人なら
インターネット上で観ることができるようになった。
これがなかなか便利だったので、
2018年からは動画視聴専用のパスを1万3千円ほどで買い、
配信動画のみでセッションを観ることに決めた。
いざ動画視聴に割り切ってみるとこれが素晴らしく快適で、
CEDECに興味がある人には私と同じように
ネット視聴に限定してしまうことをオススメしたい。
具体的なメリットを挙げてみる。
交通費・宿泊費が不要
どこに住んでいるかにもよるが、
会場となる横浜まで移動する交通費や
開催中に滞在するための宿泊費は結構なコストだし、
現地までの移動や外泊の手間もかかる。
動画視聴なら一切の手間やコストがかからず、
純粋に視聴パスの代金だけで済む。
倍速再生で観れる
動画は1.5~2倍速で再生することができるため、
実際のセッションよりも短時間で内容を吸収できる。
CEDECは特定のセッションを集中して聴くよりも
いろいろな内容を広くカバーした方が得られるものが多いので、
倍速再生で情報密度を高められるのは非常に有益。
合わないセッションは途中でやめられる
自分の知識・技術に対してセッションの内容が難しすぎたり、
いざ聞いてみるとイマイチな内容だったりしたときに
動画なら即座に閉じることができる。
会場ではセッション途中の入退場は気が引けるが、
動画視聴なら誰にも気を使わなくて済む。
部屋の定員を気にしなくていい
人気のあるセッションには人が集中するため、
会場では部屋に入れなくて締め出されることがあるが、
動画視聴は何の制限もないため、
部屋に入れるかどうかという心配をしなくて済む。
有名企業のセッションがなぜこんな小さな部屋に、などといった
部屋の割り当てに疑問を感じる必要もないし、
次の部屋に早めに並ぶために
セッション途中で退室するような失礼なことをしなくて済む。
セッションごとに部屋を移動しなくていい
各セッションは1階から5階までの各部屋に割り振られているため、
自分が次に観るセッションの場所まで移動する必要があるが、
動画ならそういった移動の手間はゼロだ。
並んだり待ったりしなくていい
定員の限られた部屋に入るために早めに並んだり、
次のセッションが始まるまで待つ必要がなく、
ひとつの動画が終われば即座に次の動画に移ることができる。
また、興味のあるセッションがひとつもないので
無意味に時間を潰すというような無駄も発生しない。
同時刻のセッションも両方観れる
スケジュールの関係で、興味のある複数のセッションが
同じ時間帯に別の部屋で開かれてしまうことがある。
動画ならそういったスケジュールの問題はゼロになる。
昼ごはん難民になる心配がない
午前中のセッションが終わったあとは昼休憩となるが、
会場近くの飲食店には一般客も含めて人があふれ、
コンビニで済ませるか、かなり遠出しないと食事がとれない。
昼食に手間取ると午後からのセッションに遅れるため、
速やかに食事が済ませられないストレスはかなり大きい。
動画ならそういった心配はないどころか、
飲食をしながら観ることさえできる。
自由に休憩できる
朝10時あたりから何時間もセッションを聴くので
夕方近くになるとさすがに疲れてくるが、
動画なら好きなタイミングで休憩できる。
自分の方にコントロール権があるのは大きく、
何かをしたいのにやむなく我慢するというストレスがなくなる。
自分の好きな順番で観れる
そのときの気分によって
聞きたい講義のジャンルというのは変わってくる。
現地ではスケジュールに従うしかないが、
動画なら好きな順番で観ることができる。
作業しながら観れる
講演者や参加者が周囲にいる会場では難しいが、
動画なら何かの作業をしながら観ることもできる。
Google Chromeの拡張機能で
Picture-in-Picture用のアプリをインストールすれば、
動画を再生したあとに「Alt+Pキー」を押して
パソコン画面の片隅に動画ウィンドウだけ浮かせることもできる。
また、スマホやタブレットで動画を再生したものを
AppleTVやAmazonFireTVなどを通してテレビにミラーリングして
テレビを観る感覚で流しておいてもいいだろう。
8割ものセッションが動画配信されている
動画配信を認めていないセッションも確かにあるが、
実は全体の8割は動画で観ることができる。
また、配信対象ではないセッションは
参加者が作業をする体験型の講座か、
動画配信に踏み切る勇気がない講演者のものなので
わざわざ動画で観る価値は低かったりする。
同時通訳の音声も収録されるようになった
英語で説明されるセッションの場合、
会場では同時通訳を聴くためのレシーバーを利用するが、
動画でも同時通訳の音声がセットになったものに切り替えられるので、
海外セッションについても支障なく観れるようになった。
大量のセッションを観ることができる
現地だと朝一からがんばって参加しても1日あたり5~6本、
3日間でせいぜい20本のセッションを観るのが限界だろう。
しかし動画なら1.5倍再生で1本あたり40分、
待ち時間ゼロで視聴できるので
1日でかなりの数を稼ぐことができる。
また、どのセッションを観るか/観終わったかの管理には
公式サイトからCSV形式の一覧データをダウンロードし、
Googleスプレッドシートにインポートするのがオススメ。
観終わったマークを付けたら色分けされるよう
「条件付き書式」の設定をすればわかりやすくなる。
現地参加より動画視聴の方が圧倒的なメリットがある
「会場に行かなければ」という意識を捨て、
動画での視聴に割り切るだけでこれだけのメリットがある。
唯一の欠点は知り合いの業界関係者に会える機会を失うことだが、
またそれはほかの場所で補うことができるだろう。