うちの父親は庭のある家を持つのが夢だったらしく、
私が子供のころから庭に畑を作って
ナスビやらトウモロコシやらを育てていた。
「ガーデニング」というようなかわいらしいものではなく、
クワで土を耕して作物を植えるような本気のやつだ。
ホームセンターで種や苗や肥料を買ってきていたが、
「いい土ができる」と言って
野菜くずや卵の殻といった生ごみも庭にまいていた。
そんなある日、夕食でアサリの味噌汁を食べているとき、
「これもまけば肥料になるだろう」と殻を集め始めた。
それを見ながら土に埋められる貝殻を想像したが、
社会の授業で習った「貝塚」というものが
各地で発見されていることを考えると、
貝殻というものは分解されずに何千年も残るのだ。
実家の庭から割と新鮮な貝塚が発見されたら困る。
私と母親はあわてて父親を止めた。