
観たときにどうしようもなく嫌な気持ちになる映画を
「エグい映画」と称して探し求めている。
わざわざ嫌な気持ちなんか味わいたくないと思うかもしれないが、
絶叫マシンに乗りたい気持ちと似ていて
スリリングな状況にヒヤヒヤする感覚と
「よくこんな嫌なこと思いつくなぁ」という刺激がたまらないのだ。
2023年が始まって間もないが、
先日観た「神は見返りを求める」はおそらく今年一番の収穫だ。
底辺YouTuberが作る企画の絶妙にヌルい感じと
人気が出てどんどん調子に乗っていく様子がめちゃくちゃリアルで、
それを善意で支える中年男性が
プライドをズタズタに傷つけられて暗黒化していく流れも強烈。
主役2人を演じる岸井ゆきのとムロツヨシの振れ幅が凄まじくて、
「人間こんなにも変わるものなのか」と思わせられる。
この作品は登場人物全員がイヤな奴なのだが、
それでいて「こういうヤツいるよなー」のオンパレードなのが怖い。
ほのぼのするのは最初の30分だけで、
それ以降は観ている側をどんどんイヤな気持ちにさせてくるし、
「もう勘弁して」と思ってるのにまったく追撃が止まらない。
YouTuberたちが醸し出す雰囲気とか
配信する動画の「いかにも」な造りがやたらうまくて、
常時ヘラヘラしているノリや
人気を得るためにエスカレートしていく様子もリアルすぎる。
なりたい職業ランキングでも上位に挙がるYouTuberだが、
子供が「ユーチューバーになりたい」と言い出したら
とりあえず本作を見せて覚悟を決めさせるといいんじゃないかな。
今ならAmazonプライムビデオで観れるので
そのエグさに耐えられるならぜひ観て欲しい。
ちなみに今年観たエグい映画の次点は「岬の兄妹」。
こっちはこっちで種類の違うダメージを与えてくる衝撃作だった。