アイコンというものは本来、現実の物体や
状況を抽象的に表現した記号なのだが、
アイコンとして定着しつつも
対象物が廃れてしまったものがある。
たとえば固定電話を必要とする人は激減しているため、
このアイコンを見て実際の電話を
イメージできる人もどんどん減っていくだろう。
スマホの「電話機能」にはこのアイコンが表示されるが、
そもそもこれが何なのか知っている若者はいるのか。
「保存」といえばこのアイコンだが、
記録媒体としてフロッピーディスクが使われたのは30年ほども前。
これが薄っぺらい板状のものだと想像できるだろうか。
「検索機能」というと決まって虫眼鏡が出てくるが、
小学校で使って以来、手にしていない。
また、小さいものを大きく見るときならともかく、
何かを探すときに虫眼鏡を使うことはないはずなのだが、
もしかしたら名探偵ホームズのイメージが影響しているのかもしれない。
「映画」といえばこのアイコンだが、
かなり前からデジタル化されているので
アナログの映写機が使われる機会も激減している。
カタカタと音を立てつつ両端に多数の穴が流れるという
フィルムを連想させる古さの表現はいつまで通じるのだろう。
「録音機能」にはこのアイコンが使われるが、
録音機器が小型化・デジタル化した今、
一般市民がカセットテープを手にすることはほぼないだろう。
まとめ
こうやって考えると、わかりやすいと思っているアイコンも
実は特定の層にはまったく通じていない可能性がある。
数十年後のアイコンは今の我々から見れば
謎の記号が並んでいるだけに思えるかもしれない。