IT機器が各家庭に広く普及した結果、
eラーニングやMOOC、反転授業など
それらを利用した学習法がいろいろと提案されているが、
結局は自宅で動画を見ることが課せられる。
「優秀な講義を動画にすれば場所も時間も問わずに勉強できる」
というのは理屈の上ではわかるのだが、
いざ実践してみると動画で真面目に勉強するのは相当に大変だ。
学校での授業と違って監督者や他の学習者がおらず、
周囲に気が散るものがたくさんある状況で、
動画に集中して勉強するにはかなりの自律心が必要になる。
(これがリアルタイムのライブ映像だとだいぶマシになる)
ちょうどこの時期、ゲーム開発の技術や手法を発表する
「CEDEC」というイベントが横浜で開かれていて、
参加登録をするとたくさんの講義動画をオンラインで視聴できる。
実際、魅力的な講義が山ほど公開されていて
せっかく大金を払ったのだから
たくさんの講義を見ようと思うのだが、
きちんと時間を確保し、他の作業を中断して
動画に集中するのがいかに困難かを実感する。
こういった講義に惹かれる声はネット上でもたくさん目にするが、
「ぜひ観たい!」「すごく興味がある」という発言と
「観終わった」という行動の間にはかなり大きな溝があるのだ。
試しにYouTubeで20分以上の解説動画を観てみて欲しい。
途中ですぐ気が散って別のことをしたくなる自分に気づくだろう。
ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学による
オンライン講義システム「edX」の報告を見ると、
利用登録した450万人もの人たちのうち、
コースを修了したのはわずか5.5%(25万人)しかいない。
講義のクオリティや多様性に問題がなくても
自主的に動画を観て学習を進めることが
いかに難しいかがわかる。
録画機能もIT機器も通信環境も整った今、
「勉強するための動画視聴」という負荷のかかる作業を
いかに実践するかという部分を解決する必要がありそうだ。