プチメタ3.0

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モザイクを消す処理のアイデアを聞いて感嘆した


映画でよく見かける場面で、
防犯カメラなどの映像から対象人物を特定し、



グッと拡大したモザイク状の映像を
解像度の高い滑らかなものに加工する処理がある。


いろんな作品でこういった場面を見るたび、
「これはウソだ」と毎回思っていた。


というのも、モザイクになった段階で
元画像の情報が失われているからだ。

モザイク処理の原理


解像度の高い写真や映像があったとする。




コンピューター上の画像は
「ピクセル」と呼ばれる小さな四角形の集まりなので
大きく拡大すると色のついた正方形が並んでいる。




これを一定数、たとえば4×4ピクセルずつに分け、
範囲内の16ピクセルの色の平均値で区画内を塗りつぶす。




これをそれぞれの区画で行えば
元の色がぼんやりと反映された粗い画像になる。




これがモザイク加工の原理だ。




ひとつの区画を4×4よりももっと広い範囲にすれば
モザイクがより粗い状態になる。


つまり、モザイク化された画像は
本来の色が塗りつぶされてしまっているので
復元が不可能なのだ。


しかし数年前の金出武雄氏の講演で
これを解決する手法を聞いて衝撃を受けた。


reblog.hateblo.jp

大量の顔データを用意する


まず、顔データを大量に用意する。
今はビッグデータの時代なので
あらゆる国籍や年齢の写真が手に入る。






次に、それぞれの顔写真を
何段階かの粗さでモザイク化する。
仮にこれを「モザイクチェーン」と呼ぶ。

復元したい写真をあえてモザイク化する


さて、解像度の高い状態に復元したい写真があるとしよう。
モザイクになった時点で元の情報が失われているため、
これよりも細かい状態にさかのぼることはできない。




しかし、より粗いモザイクに加工するのは問題なくできる。
そしてこれはモザイクチェーンの後半部分に相当するはずだ。


そこで、あらかじめ用意しておいたモザイクチェーンから
後半部分がこれと似通ったものを探す。



サンプルがたくさんあれば
似たような変化をするデータもあるだろう、と考えるわけだ。


実際には顔丸ごとそっくりとなる確率は低いので、
目・鼻・口というパーツ単位に分けて行う。
顔全体が瓜二つという状態は少なくても
「鼻だけ似ている」「眉毛だけそっくり」ということは珍しくない。




用意したモザイクチェーンに関しては
元のデータを持っているわけだから、
似通ったモザイクチェーンの写真から
目や鼻のパーツを取り出して合成すれば
実際のものとほとんど変わらない顔写真を作り出すことができる。

まとめ

解像度の高い状態にするために
より粗いモザイクに加工するところがポイントで、
この理屈を聞いたときには非常に感銘を受けると同時に、
なぜこの発想に気づかなかったのか、と悔しい思いをした。

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