私が子供だった1985年頃、缶ジュースの値段は100円だった。
当時は100円玉ひとつあれば缶ジュースが買えたのだ。
それから30年が経った2015年。缶ジュースは130円で売られている。
年月が経つと物価が上がることはよく知られているので、
そのこと自体は大きな疑問を持たないだろう。
ただ、これを「物価が上がるのは嫌だなぁ」という感覚で
傍観していてはダメなのだ。もっと数学的に考えてみる。
30年間で30円の値上がりということは、
平均で1年あたり1円値上がりしたということだ。
つまり100円のジュースに対して年1% の価格上昇があったのだ。
ということは、当時持っていた100円も
130円に増えていないと価値が下がっていると言える。
「金額が100円のままだからお金は減っていない」と安心するのは間違いだ。
世の中の物価が上がって品物が高くなったなら、
自分が持っているお金も同様に値上がりしてくれないと釣り合わない。
そうでないと当時買えたジュースが今は買えないことになる。
さて、銀行預金の利子は年1% もあるだろうか。
今、そんな利子の銀行はどこにもない。
普通預金なら年利0.002%程度。
定期預金でも高くて0.2%ぐらいだろう。
つまり、銀行預金では物価の値上がりに追いつかないのだ。
利子によって金額は少しずつ増えていくが、
それ以上の速度で物価が上がるため、
結果的には自分の資産は減っていると言える。
この理屈を知らないまま
銀行預金に絶対の信頼を置いている人のなんと多いことか。
―――「資産運用に無関心な人が読む本」より
保守的な人ほど銀行預金を選び、
「元金を失うから」と投資を敬遠するが、
資産を守りたいならなおさら投資をした方が安全だ。
銀行は「頑丈な財布」というだけで資産を増やす効果はない。
預金した資産は物価上昇によって緩やかに価値を失い、
チャレンジを先延ばしにすることで
リスクの少ない長期投資をするチャンスがなくなる。
株価の下がっている今こそ投資をする絶好の時期だ。