職業柄、さまざまな状況の学生に遭遇するが、
保護者への依存度が高い場合や
保護者から干渉が強すぎる場合、いい結果にならないことが多い。
業界知識がないのに就職活動に口を出してきたり、
一般消費者としての視点で企業価値を判断したり、
30年も前の学生経験をもとにアドバイスしたり、
子供の実力や適性を無視して進路を決めたりしてくると、
ほとんどの場合、悪影響にしかならない。
また、経済や社会制度に関する知識が乏しく、
リスクや実現可能性を踏まえずに家計が組まれていて
少しでも予定外な状況が起きると
生活が破綻するような計画を立てる保護者もいる。
学生にとっての保護者は、それまでの人生で
ずっと頼りになる存在だったかもしれないが、
世間から見れば1人の大人でしかなく、
今の学習内容や目指す業界や
社会状況に詳しいとは限らない(たいていは詳しくない)。
逆に教員は学生が置かれている状況を直接的に知っているし、
最近の専門知識や関連業界についても詳しい。
学生が陥るトラブルも
過去に他の学生が経験したものが大半なので、
適切な対処法や利用できる制度を知っている可能性が高い。
それなのに保護者には強力な決定権と影響力があり、
適切なアドバイスができる教員を差し置いて
子供によくない選択をさせてしまうことがある。
そうなると教員は、学生が不幸な結果に行き着く様子を
ただ見ることしかできなくなる。
ベストな保護者というのは口を出さずに金だけ出す存在だ。
本当に子供のことを思うならそうして欲しい。