多くの3Dゲームではコントローラーの右スティックが
カメラの向きを操作するものとして使われている。
(パソコンゲームの場合はマウスが使われる)
FPSやTPSなど敵を狙うシューティングゲームはもちろん、
マリオなどのアクションゲームでも
周囲を見回すときにカメラを動かす必要があるので
右スティックでのカメラ操作は定番だろう。
しかし、スティックを上に倒したときに
カメラが上下どちらに向く方が自然か、という感覚は人によって異なる。
スティックを上に倒すとカメラも上に向くという
同じ方向に変化する設定を「ストレート」、
スティックを上に倒すとカメラは下に向くという
逆方向に変化する設定を「リバース」と呼ぶことにしよう。
ストレート派でもリバース派でも
本人はその操作が一番しっくりくると考えているのだが、
これは初めてプレイした3Dゲームでの影響が大きく、
左利きの人が右利きに矯正するのに苦労するのと同様、
一度馴染んでしまうともう一方の流派に変わるのは難しい。
そのため、大半のゲームではコンフィグ画面で
カメラ操作の反転が設定できるようになっている。
自分と異なる設定でなんとかプレイしようとしても
頭の中でスティックの向きを反転する思考が追い付かず、
咄嗟に動かしたときに逆になってしまったりするのだ。
この感覚の違いがどこから来るのかと私なりに考えたが、
右スティックがカメラのどこに付いているのかというイメージが
ストレート派とリバース派で異なるのではないか、と思っている。
ストレート派はカメラの鼻先に、
リバース派はカメラの後頭部に右スティックが生えているのだ。
カメラの鼻先についている右スティックを上に倒せば
当然カメラは上を向くことになる。
ストレート派の人にとってはごく当然の感覚で、
操作と逆方向に向くリバース派の感覚は理解できない。
しかしカメラの後頭部に右スティックがついている場合、
スティックを上に倒すとカメラが下に向くことになる。
カメラの中心がシーソーの支点となるわけだ。
この感覚でとらえているリバース派の人にとっては
スティックを上に倒すとカメラが上に向く理屈は納得できない。
厄介なことに、上下だけでなく左右にもリバース問題はあり、
上下はリバースだが左右はストレート、
上下左右ともにリバース、などと4種類の組み合わせがある。
ゲームメーカーによっても考え方が異なるようで、
初期設定で左右がリバースになっているゲームを見たことがある。
このときはあまりにプレイしづらくて設定を変更したが、
もともとがリバースの状態なので、
ストレートにするために「反転」を選ばされる仕様にモヤモヤした。
ちなみに飛行機を操作するタイプのゲームでは
上下リバースの方がしっくりくる人が多い。
これはパイロットが握る操縦桿をイメージするためで、
スティックは機体の後方ではなく、上方向に付いているのだ。
フライトシューティングゲームの大半が
上下リバースを初期設定としているので、
飛行機を操作するときはリバースという感覚が浸透しているのだろう。
異なる操作感覚の人が世の中に一定数いるなら
操作方法を変更できるように作っておかないと
開発者と違う感覚の人をすべて切り捨てることになってしまう。
(プラスマイナスを逆にするだけなので処理自体は簡単)
複数の流派を受け入れる柔軟な仕様にしつつ、
多数派の操作方法を初期設定にするのが
ゲーム開発者の姿勢として正しいと言えるだろう。