プチメタ3.0

刺激を受けた物事に対する感想や考察、資産運用や英語学習、自己成長に関することなど。


英語の勉強を続けていたらアメリカ出張することになった話


私が英語をきちんと勉強し始めたのは
35歳になった2012年あたり。


職場の中に英語ができる人が少なかったので
今のうちに勉強しておけば
周りの人より1歩上回れるかも、と思ったのがきっかけだった。


英語の解説書を読み、Podcastを聞き、
英会話教室に通い、洋書を読んで英語力を鍛え、
東京ゲームショウに出張したときには
外国人の接客にも積極的にチャレンジするよう心がけた。


そうやって少しずつ英語に触れていることが
周囲の人にも伝わるようになり、
4年ほど経ったある日、職場の偉い人に呼び出された。


アメリカのテキサスで開かれるイベントを視察してきて欲しい


詳しく聞くと「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」という
音楽や映画、IT関連のイベントらしく、
テキサス州のオースティンという街で数日間開かれるらしい。
ある程度の内容を網羅する関係で
7泊9日と長めの出張になるようだ。


「いつか英語圏に行くような仕事が回ってくればいいなぁ」と思ってたが、
まさかこんなに早く叶うとは。
不安もかなり大きかったが、勇気を出して承諾した。

出発までの準備


アメリカ出張にはもうひとり別の教員と2人で向かうが、
その人はアジア方面ばかりでアメリカには行ったことがないし、
英語もほとんどできないということで、
各種手配や英語面では私が先導することになった。


これまで西海岸グアムに行った経験をもとに
現金やカードの準備、ESTAの手続きを進めていく。
普段の旅行ならJTBなどの旅行会社にホテルや飛行機の手配を依頼するが、
今回は社内事情もあってそれぞれを個人で申し込むことになった。
旅行会社の後ろ盾がないのはかなり不安だ。


海外旅行ではスマートフォンやインターネットも必須だが、
今回はポケットWi-Fiは使わず、
1日3000円ほどの国際ローミングで乗り切ることにした。
iPhoneだけで直接通信できた方が身軽で便利だ。

サンフランシスコ経由でテキサスへ


神戸からオースティンまで直接向かう飛行機がなかったため、
関西空港からサンフランシスコを経由し、
乗り継ぐ形でテキサス入りすることになった。
サンフランシスコとテキサスでも時差があるので
日本を出発してから2回も時刻が変わることになる。




サンフランシスコまでですでに10時間もかかっているのに
そこからの飛行機が2時間も遅れ、到着が深夜になった。


ここからタクシーで宿泊先まで向かうが、
場所がわからないというので
運転手にスマホの地図を見せながら指示することに。
このあたりから英語でのコミュニケーションが必須となった。




SXSWの開催中は近隣のホテルがすべて埋まるため、
我々が押さえられたのは中心地から遠く離れたモーテル。
「モーテル」なんて映画でしか聞いたことがないし、
すでに事件が起こりそうな雰囲気が漂っている。




ヘトヘトの状態でチェックインしようとしたら
予約がなぜか1泊短く登録されてるというトラブルが発覚。
予約の確認票には正しく記載されてるのに。


「コンピューターの不具合だから明日もう1度来てくれ」と言われたが、
もし無理だったらどうなるんだろう。
周辺のホテルなんてまず空いてないぞ。




モーテルの部屋はまさに映画で見たまま。
日本ではまず味わえない雰囲気で迫力満点。
いろいろな不安を抱えたまま寝た。


次の日に受付に出向いたら昨日とは違うスタッフがいて
また1から説明したら
明後日に改めて手続きしようと言われた。




問題が解決しなくて不安だらけだったが、
パンツとパンツの間にからの手紙を見つけて
少し気分が回復した。がんばることにする。


さらに2日後に出向くと運良く初日のスタッフがいて、
彼自身のミスではないのに親切にいろいろやってくれて
ついに予約が正しい状態に修正された。
同行者と2人でがっちり握手し、その日はぐっすり寝た。

SXSW2016開幕


いよいよSXSWが開幕。
10日間にわたって、いろいろな音楽イベントやセミナー、
デモンストレーションや映像上映が行われ、
それを見るために8万人ほどの人間が
この小さな田舎町に集まってくる。




イベントの参加証にはいくつかの種類があるが、
これは15万円もするゴールドバッジ。


実は中にチップが仕込まれていて、
部屋に出入りするときにスタッフの携帯端末でチェックされる。
このあたりの整備具合が素晴らしい。


交通費と宿泊費も合わせると
かなりの経費を割いてもらってるので
業務としての責任を果たすとともに
個人としてもひと回り大きくなって帰って来たい。




参加証の正しい装着方法を説明するマネキン。
大規模なイベントなのに随所に遊び心があって
こういうノリがすごく楽しい。

いろいろなセミナーに参加


実際にいろいろなセミナーに参加してみたが、
ネイティブ向けの容赦ない英語はめちゃめちゃ速い。
リスニング教材を1.5倍速で聞いて訓練していたが、それよりもまだ全然速い。
TEDのプレゼンを英語の字幕すらなしで
完全に理解できるぐらいじゃないとキツイし、
観客への質問や会場の笑いの流れについていけない。


旅行で困らないレベルの英語と
ネイティブと問題なく意思疎通するレベルには
何段階もの溝があると痛感した。努力の道はまだまだ長そうだ。




SXSWにはジェイク・ジレンホールも来ていた。
映画「遠い空の向こうに」で初めて見かけて以来、
ミッション:8ミニッツ」「ナイトクローラー」など、
ここ近年で活躍しまくっている俳優だ。
なんとか直接見たかったが、
満室によりシャットアウト。ドアの向こうにいるのに。




オバマ大統領の登壇もあったのだが、
観覧の抽選倍率が異様に高く、やむなくライブ中継で観ることに。
とはいえ、わずか数百メートル行った会場に
オバマ大統領がいると思うと、それだけで興奮した。




オバマ大統領もジェイク・ジレンホールも逃したので今度こそ、と
早くから並んで、なんとかJ.J.エイブラムス監督のセミナーに入れた。


「スター・ウォーズ」の最新作はもちろん、
ミッション:インポッシブル(3以降)」も
スター・トレック」も「クローバー・フィールド」も
SUPER8」も全部観た。それを作った人が壇上に。

展示ブースも見学


SWSXの会場はセミナー関係だけでなく、
体感型の企画ブースなども併設されている。
触って遊べるユルさと楽しさで親子連れに大ウケだった。




これは機械に接続されたトランポリンで
実際にジャンプしながら操作するスーパーマリオ。




自走するR2-D2は、完璧に映画で見たまんまの音と動きで感動した。

会場近辺の雰囲気


テキサスというとショットガン抱えた呑んだくれ親父が
牧場を営んでるイメージが湧くが、
オースティンは普通の小さな街だった。


車がないとまず移動できない広さだけど
ダウンタウン地区は割とコンパクトにまとまっている。


SXSWのイベントに合わせてなのか、
周辺を歩くと日本では見かけないようなものを
たくさん見かけることができた。




やたら回転が速すぎる観覧車。




逆さになった教会。
完成が楽しみだが、意味はよくわからない。




いったい何色に光るのか気になる信号機。




いろんな催し物を見過ぎて、
銀河帝国の戦闘機が空き地に着陸してても驚かない。

現地での移動手段


車社会のオースティンだけど、バスもかなり充実していた。
(ただし車を買えない層の住民しか乗らない)


スマホの専用アプリが素晴らしくて、
目的地までの乗り継ぎ方の検索、
近くのバス停の検索、バスが来るまでの待ち時間、
さらにはアプリ内で切符まで買えた。


停留所にはすべてID番号が割り振られているので
その番号をアプリに入れれば
どこ行きのバスが停まるかもわかる。


慣れない土地のバスってやたらハードルが高いが、
ここまで整備されていれば相当便利。日本でもやって欲しい。




オースティンの街を縦断する形で
MetroRailと呼ばれる電車も走っており、
これもスマホアプリで切符が買える上、
乗り放題チケットならそのままバスにも乗れる。


やけに未来的なデザインだけどそれほど速くないし、
30分に1回しか来なかったり
日曜は運行してなかったり(衝撃!)と意外と不便だった。




会場に指定されている範囲がかなり広く、
次に観たいセミナーの場所が1キロ以上離れていたりするため、
自転車タクシー(PediCab)もよく利用されている。
試しに乗ってみたが、これが最高だった。


小さいギヤ比で車のすぐ横をグングン加速していく。
自分が漕がなくていいもんだから
自転車で下り坂を下りてるような気持ちよさがある。
Square(小型決済端末)でカード払いもできるし、
晴れた街なかをこれで移動するのは病みつきになりそう。




日本だとUber Eatsの方が有名になってしまったが、
もともとのサービスであるUberも利用できた。
一般の人が運転する車をスマホで呼び出し、
タクシーよりも安い値段で目的地まで送ってもらえるサービス。


迎えに来る場所も目的地の指定も支払いもすべてアプリ上で済むし、
客を探している近くの車がリアルタイムで見れるのが面白い。
車の数より客の方が多いときには
いつもより料金が高くなるなど、よく考えられている。


車を呼び出すと、相手の車種とナンバー、顔写真が表示されて
3分もしないうちにやってくる。
タクシーが拾えないような場所でも問題ない。これは楽。


助手席と後部座席のどちらに乗るべきか迷ったけど
聞いてみたら助手席を指定され、
乗ったら乗ったでやたら話しかけられて
到着まで脳みそフル回転だった。英会話とセットのサービス。




Uberと同様のLyft(リフト)というサービスも利用してみたが、
イカつい黒人男性が運転するデカい車がやってきた。


助手席に乗り込み、2人きりのドライブ。
やたら乗り心地がいいし、中も広いので車を褒めたら
「Thanks,Thanks」といいながら
ヒップホップをかけ始めた。そんなベタな。


無表情ながら「どこから来たの?」「初めて?」などと聞かれ、
降りるときには頼んで写真を撮らせてもらった。




もちろんバスで帰ることもできるが、
バス停からモーテルまでの道がリアルに怖い。
映画なら絶対悪いことが起こる雰囲気だった。

映画館のシステムが最高


セミナーだけでなく映像作品も観てみたが、
そもそも映画館のシステムが衝撃的だった。


客席の前にカウンターテーブルがあり、
メニューとメモが備え付けられているので
映画を観ながら希望の注文をメモってテーブルに立てておくと
静かにスタッフがやってきてメモを回収していく。
(各列の前後は人が歩けるほど離れている)


しばらくすると注文したものが運ばれてくるので
置かれた伝票にカードを挟んでおけば
会計もそのまま済ませてくれる。
メニューや伝票が読めるようにテーブルの下に
薄暗いライトが付いているのも素晴らしい。


映画を観ながらいつでも注文できるという
レストランと映画館が共存してるシステムがあまりに快適で、
ずっとそこで居続けようかと思ったぐらいだ。

オースティンの居心地


朝と昼で気温差が15度もあるというオースティンの気候。
現地の人はガンガン半袖で歩いているし、
会場にも冷房がかかっているけど、
日本人の感覚だと明らかに寒いときがある。




アメリカ全土に言えることだが、
3月半ばからサマータイム(Daylight Saving Time)のために
アメリカ国内の時刻が1時間早められる。


iPhoneは自動で時刻調整されるので意識しなくていいが、
朝6時なのに外を見たらまだ暗かったりして(昨日までの5時なわけだから)
自分の感覚と時刻のズレがすごく新鮮。


iPhoneが10時を指しているのに腕時計は9時を指していたり、
夜0時に寝て朝6時に起きたのに
実は5時間しか寝てない、みたいな
タイムスリップ感が起こって面白い。

アメリカ出張を終えて


アメリカの南部だからかSXSW開催中だからかわからないが、
本当にさまざまな人種がいて、「スター・ウォーズ」で
いろんな種族が登場する場面にすごく似た印象を受けた。


ハワイグアムサンフランシスコ、ラスベガス、ロサンゼルス
バングーバーときて7ヶ所目となる海外だけど、
日本人をこんなに見かけない場所は初めてかも。
「日本人の存在ってちっぽけなんだな」とちょっと弱気になった。




アメリカはカード社会だと聞いていたので、
今回の出張では「断られない限り
クレジットカードで支払っていこう」と試したら
7泊する間、1度も断られずに済んでしまった。スゴイ。


どんな小さな店でどれほど少額の物を買っても
当たり前のようにカード払いが通る。
慣れてしまえばこれほど楽なことはないし、
高額な現金を持ち歩くこともないので安全だ。




ちなみに国際ローミングを利用したスマホ代金だけど、
請求書のパケット料金がヤバイことになっていた。
海外ダブル定額 *1 がなかったら破産してたんじゃないか。


動画も観てないし、自動バックアップも切ったし、
写真を投稿したり仕事のメールさばいたりしただけなのに
どうやったらこんな金額になるんだろう。




今回の出張で痛感したのは
「英語が読める」のは相当に強いということ。


当たり前だが、あらゆる情報は英語で載ってるわけで、
電車の乗り方もアプリの使い方も何かの手続きも
英語さえ読めればその国の初心者と同じレベルになれる。


まだまだ知らない単語に出会うけど、
英文構造を理解しながら読めるスキルがあるのは安心だった。



mclover.hateblo.jp

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