プチメタ3.0

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学生たちとハンバーガーを100個食べる会を開いた話

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20年近く前、当時の教え子たちが
「マクドナルドのハンバーガーを100個食べる会」を企画した。
たまたまそういうネタがネットで流行っていたこともあり、
学生たちもやりたいと言い出したのだ。


「先生もどうですか」と誘われ、
マクド好きの私も乗ることにした。
他の先生や学生たちも合わせて
最終的に参加者は16人ほどになった。


事前に決めたルールは以下の通り。


●ハンバーガー100個分の代金はワリカン
●ハンバーガーはいくつでも自由に食べてよい
●ドリンクなど、ハンバーガー以外の注文は自己負担


ハンバーガー100個というとインパクトが強いが、
ひとつ100円ぐらいなので、
全員でワリカンすれば参加費は1000円以下。
非常にコストパフォーマンスの高いイベントだ。


企画した学生はなかなかきっちりしていて、
参加者に対する集金や情報共有だけでなく、
店舗に迷惑が掛からないよう
事前に連絡して注文内容や来店人数などを伝える徹底ぶりだった。


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いよいよ当日。全員で学校近くのマクドナルドへ。


それぞれがLサイズのドリンクを注文し、
店内の一角に確保したテーブルに移動する。
中には「ナゲットも買っちゃった♪」などとはしゃぐ者までいる。


しばらくすると主催した学生たちが
カウンターで受け取った大きなビニール袋を持ってやってきた。
中には数えきれないほどのハンバーガー。


まずはテーブルの上に6×6の正方形にハンバーガーを並べ、
その上に5×5、さらに上に4×4と
ハンバーガーのピラミッドを作っていく。
100個もあると6段ピラミッドを作ってもまだ余るのだ。


いつもは数個単位でしか見たことがないハンバーガーが
言葉通り山積みになっているのは壮観だった。
当時の写真が残っていないのが惜しまれる。


「それではいただきます!」
主催者の掛け声で全員がピラミッドに手を伸ばす。


うまい。いつも通りのマクドの味だ。
すぐに食べ終わって2個目を取る。


みんな朝から空腹で集まっていることもあり、
余裕のある雰囲気だ。私も3個目にかぶりついた。


ただ、4個目の途中ぐらいで急にキツくなってきた。
ひとつひとつは薄っぺらいハンバーガーだが、
バンズは上下合わせると小さなコッペパンに相当するし、
肉は4枚も食べているのだ。


目の前のピラミッドは4段以上残っており、
その存在感は最初に見たときとそう変わっていない。


参加者16人で100個を食べ切ろうと思ったら
1人あたりのノルマは6個あまりだ。
なんとか4個目を食べ切り、
苦しさを感じながらも5個目を手に取った。
同様に他の参加者たちも表情が曇ってきている。


こうなると不思議なことに、
貢献度の低い者に対してイライラしてくる。
4個でギブアップした者は周囲から顰蹙(ひんしゅく)を買い、
ナゲットを注文したお調子者は蔑まれた。


「いくらがんばってもこれが限界だ」
6個目を引き受けながら私はそう宣言した。


みんなには申し訳ないが、
5個目の段階ですでに限界に達していた。
胃袋が最初に食べた1個をいち早く消化して
空いたスペースにこの6個目を詰め込むのが精一杯だ。


テーブルの上のハンバーガーはあと数個。
ハンバーガーを圧縮して小さくする者、
ジュースで流し込む者、みんなよくがんばっていた。


それでもさすがにもう無理だ。
体育や部活に励んだ高校時代と違い、
たいした運動をする機会がない専門学校生にとって
これほどの量を食べる元気はない。


そんなとき、残るハンバーガーに手を伸ばす者がいた。デブだ。


コンピューター系専門学校の学生は
ほとんどが標準体重より軽いガリヒョロタイプだが、
クラスに数人の割合で必ずデブがいる。
そしてこの日集まった16人の中に彼がいたのだ。


大半の参加者が6個で限界を迎える中、
彼は8個目を平らげた。


いける。彼がいればいける。
普段目立たないデブが急に注目され始めた。救世主だ。
満腹すぎてうなだれていた者たちが身体を起こし、
まだ戦い続ける彼を応援した。


がんばれ。その調子だ。
お前の身体が役立つときが来た。
みんなのために最後の力を振り絞れ。


デブを中心に参加者が輪を作り、
最後のハンバーガーが
彼の口に吸い込まれていく様子を見守った。


やった。100個目だ。ついにやりきった。
満腹で駆け寄ることができなかったが、
16人の結束を固める不思議な達成感があった。


生まれて初めて6個ものハンバーガーを食べた私は
主催した学生を見つけてこう言った。


「次やるときは20人集めような」

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