副業を認める企業が増えている中、
いまだに副業を禁止している事例を見かけるが、
企業側の思惑に見合った効果はないように思える。
副業が禁止される一般的な理由を以下に挙げるが、
どれも理にかなっていない。
長時間労働で本業に支障が出そう
副業をすることで時間が取られて
本業の方に支障が出るという理屈だが、
副業しないからといって十分に休息を取るわけではない。
空いた時間は趣味などに割り当てられるだけなので、
夜通しゲームをしたり、ダラダラと遊び歩いたりなど
仕事に支障が出る危険は特に変わらない。
副業を禁止したからといって
本業に使われるエネルギーが確保されるわけではない。
情報漏えいのリスクが高まる
副業を通して関わった相手に
機密情報が漏れることを懸念したものだが、
こういうのはモラルの問題であって、
副業をしなくても情報を漏らす危険は常にある。
人と会ったりSNSを利用することは誰でもできるわけだから
副業を禁止したところでリスクは変わらない。
副業を禁止するのではなく守秘義務を浸透させるべきだ。
本業に尽くして欲しい
仕事に対するパフォーマンスは
副業をしたからといって下がるわけではなく、
副業に全力を発揮する人は本業にも全力を尽くすし、
本業で30%の力しか発揮しない人は副業を禁止しても30%のままだ。
結局のところ、責務に対する意欲は副業の有無には関係がない。
本業の利益に競合する可能性がある
同じ業種の仕事を社外でされると
本業の利益が奪われるという理屈だが、
一個人の副業が組織の競合になるというなら
そもそも企業として競争力が弱すぎる。
自社に競合する社員の副業を禁止したところで
同等の能力を持った人間は世の中にいるはずで、
その存在に打ち勝てるよう努力すべきだろう。
人材の流出を防ぎたい
優秀な社員の存在が知られることで
他社に逃げてしまうことを恐れたものだが、
転職を防ぎたいなら他社よりも待遇をよくすればいい。
他社に引き抜かれるほど優秀な社員を
安い給料で雇い続けようというのは虫がよすぎるだろう。
自社の方が居心地がよければ
他社から声がかかっても社員が逃げることはない。
まとめ
何かの能力を発揮して金銭を稼ぐには
新たな知識・技術の会得と試行錯誤が必ず必要になるわけで、
本業以外でもそういった努力をすることは
自社を支える社員の成長につながるはずだ。
その機会を奪えば社員は本業での経験しか得られなくなり、
時間に対する成長が鈍くなるので
結果的に組織力の向上を妨げてしまう。
むしろ社員には本業以外で利益を生む手段を模索させ、
新たなスキルを養うよう勧めるべきだろう。
そういう「稼げる社員」が結集する組織は
副業を禁止している企業よりも必ず強くなる。