ある業務が特定の人にしかできない状態を「属人化」と呼び、
他の人もこなせるよう手順をまとめて
マニュアル化するよう望まれることが多い。
しかし、他の人にもできるということは
平均的な能力しか使わない手法なのだ。
高い能力を必要とするやり方だと
マニュアルに書いてあっても誰も真似できない。
つまり、属人化しないようマニュアル化を進めれば
誰にでもできるレベルに抑えられた手法ばかりになり、
業務の成果は平凡なものになってしまうだろう。
また、誰でもできる仕事になれば
人員の入れ替えがしやすいので労働者の価値は下がる。
代わりになる人がいないからこそ
辞められないように待遇を良くするわけで、
マニュアルに従えば誰でもこなせるというなら
わざわざ努力して引き留めようとは思わなくなる。
なにかと業務の属人化を嫌う人がいるが、
マニュアル化されていないのは
他の人に真似できないほど
担当者が能力を発揮しているからとも言える。
(業務に必須の情報を1人で抱え込んでいる場合は別)
人が抜けたときに備えておくべきという気持ちはわかるが、
マニュアル作りや更新にかかる手間も小さくないし、
属人化するほど個々の能力を発揮した上で得られる成果は
人員交代にかかるコストを上回るのではないだろうか。