プチメタ3.0

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勉強とは何かを知らないまま年を取ってしまった学生たち



地元の友達と雑談していて
「今の学生の悪化具合」について話していた。

最初に言っておくと、
我々の年代が想像する「普通の学生」というのも大半を占める。
少なくとも半分以上はなんとかいる。
ただ、あまりにもピンキリなのだ。特に悪い方がひどい。

上下の格差がひどい

私も学生時代にトップクラスだったわけではないし、
ガリガリと勉強していたわけではない。
でも少なくとも進級・卒業に困らない程度に
平均以上の成績は保っていたし、周囲の友達もそうだった。

勉強は別に好きじゃない、
たまには学校サボリたい、とも思っていたが、
実際には普通に勉強し、普通に過ごしていた。

しかし、最近急速にピンキリの差が激しくなっているのを実感している。
特に私は職業柄、16歳~20歳ぐらいの学生と接するので
データなどではなく、直接実感する。

まず「分数ができない」なんかはザラだ。
分母・分子・通分・約分・分数の掛け算・分数の割り算、
それらがわかっていない学生なんて珍しくない。
「いやそんなバカな」と思う人もいるだろうが、
私もウソだと思いたい。でも事実だ。

勉強といっても、それらは
「植物は二酸化炭素を吸って酸素を吐き出している」レベルの
常識に近い部分だと思っていただけに
それができない学生に最初に出会ったときは衝撃だった。

そうなると%の計算もできない。
ネットの質問・相談掲示板で
「7500円の20%引きっていくらになるんですか?」
と書き込まれていたときにはゾッとした。
%の概念と計算方法、
一部の数を全体の数で割って100を掛けるというのが
丸っきり抜けてしまっているのだ。

たぶん「素数」の意味を答えられない人も
かなりの数でいると思う。
いや、別に素数なんて普段使わないのだが
そのレベルの知識まで失くしてしまってることが驚きなのだ。

もちろん学生時代に習ったことをすべて覚えているわけではない。
私も微分・積分の方法は忘れたし、
社会で習った「プランテーション」という言葉が
何を表すものだったのかは覚えていない。
しかし、「普段使わないから忘れていた」場合とは根本的に違うのだ。

「わからない」のではなく、「知らない」

たぶんそういう学生は分数の扱い方や
素数の意味を「知らない」のだ。
忘れたのではなく、理解した経験がない

学校で教わったときに理解できず、
それを解決しないまま放置し、学年を重ねる。
そうするとその部分の知識が必要な上位問題も解けない。
その機会に改めて理解するわけではなく、また放置する。

それだと進級・卒業できないだろう、と思うのだが
「なぜか」どんどん進級していく。
理解できなかった部分は次の学年、次の学校に先送りするのだ。
そうなると16歳~20歳ぐらいのときには
膨大な量の未理解領域ができている。

普通の感覚なら「ここがわかってないのはかなりヤバい」と
青ざめながら必死で勉強するか、先生に聞くだろう。
これは理解できなかった場合の
デメリットを想像できているからだ。

そして、こういったデメリットを
想像できない人が増えていると思う。

デメリットを想像できていない怖さ

たとえば、社会人になってから考えると
「高校を中退する」というのが
どれだけ大きなデメリットになるかが想像できる。
中にはやむをえない事情の人もいるだろうが、
そうではないのにあっさり中退を選ぶ人もいる。

やめるのはわずかな手間がかかるだけで
一時的に束縛が外れて楽になるのだが
実際にはあまりにも大きなデメリットだ。
どんなデメリットか一言では言えないほどに大きい。
しかもどんな方法でも代替できない。
少なくとも普通に高校を卒業する人たちには
もう絶対に追いつけない。

たとえば、就職試験を受けに行く会社の予定を
無断で欠席する学生がいる。

社会人になってみると、
「企業相手の約束をすっぽかす」というのは
あまりにもデメリットが大きいことがわかる。
もうどうしようもないほどに。
考えるだけで体が震えるほどに。
それこそ
「この学生は予定をすっぽかすようなヤツだから
 絶対雇わない方がいいですよ」
と業界全体に連絡が回ってもおかしくないぐらいに大きい。
社会人になってから同じことをしたらクビを覚悟する。

たとえば、卒業してから1年間フリーターで過ごし、
それから職探ししようと決断する学生がいる。

社会人になってみると、学校を卒業後、
フリーター生活を1年間挟んだ人間が
人事担当からどれだけ低い評価で見られるかがわかる。
新卒との差は1年間の数十倍の開きがある。
ほとんど「ダメ人間」のレッテルを貼られた状態で審査される。
そのレッテルを弾き飛ばし、
新卒を抑えて採用枠を勝ち取るのはあまりにも無謀だ。
(そもそも勝ち取れる人はフリーター生活を挟まないだろう)

いずれもそのときの
デメリットを想像できていない」のだ。

目先にある負担軽減だけに惹かれて、
それに伴うあまりにも大きなデメリットを想像できず、
まったく釣り合っていない天秤を選択してしまっている。

まずいのは、その選択を後悔しても
選択し直すことができないということだ。
それほどに大きな選択だということを実感できず、
ほとんど存在しないメリットだけに注目しているため、
正しい選択をした者と大きな差ができてしまう。



学校は「勉強すること」を体験する場所

今になって思えば学生時代に勉強していてよかったと思う。
いや、もっと勉強していてもよかったぐらいだ。
ハッキリ言えば漢文の何が役に立つのかわからない。
因数分解なんて一度も使ったことがない。

でもそういうことじゃないのだ。

なぜ勉強するのか。勉強しなければならないのか。
それは「勉強する」ということを体験するためなのだ。

誰かの説明や本の文章を理解する力、
得た知識を使って問題を解く力、
解けない問題を解決する方法、
一定の時間、勉強に集中する姿勢。
そういうものを身につけるためのものだったように感じる。

つまり、勉強のネタなんて数学じゃなくても
「アラビア語」でも「地図の読み方」でもなんでもいいのだ。
大事なのは勉強する方法を身につけ、
得意分野を発掘することだと思う。

たまたま、題材が国語・数学・理科・社会・英語だったのだ。
学校を卒業し、それらの知識を忘れてしまっても、
勉強する方法を身につけている人間は
今、必要なことを素晴らしい早さで吸収できる。

勉強する方法を身につけておくことが大切

得意科目、苦手科目があるにせよ、
少なくともそれらを勉強し、
乗り越えようとする姿勢そのものを身につけることが
学校の目的だったのではないか。

それらは社会人になった今、はじめて理解できる。

だからこそ「最低限、高校だけは普通に卒業しておけ」と思う。
大人がよく言うこのセリフの裏には
前述のような意味が込められているのではないか。

私自身も心底、同意する。

身の回りにいる、自分より不出来な人を見て安心するのは、本当に危険だ。
それはデメリットを想像できない人を見ているに過ぎない。
その人を見て安心している、という自分自身が
デメリットを想像できていないことに気づくべきだ。

勉強したからといって、青春の時間が減るとは思えない。
それらは十分に両立できる。
私の学生時代は非常に充実していたと胸を張って言える。

前述した分数や%がわからないのが
問題なわけではないのだ。

分数がわからない人には教えればいい。
%の意味を知らない人には説明すればいい。
しかし、そのためには「勉強する方法」を
知っていてくれなければいけないのだ。

だが、私が出会った「分数や%がわからない学生」は
往々にして「勉強する方法を知らない学生」だった。
残念ながら、勉強する方法は短期間では教えられない。
小学校から高校あたりまでの長い年月には敵わない。

だからこそ言いたい。
学生のうちに、しっかり勉強しておいて欲しい。

その大事さがわかるのは10年以上も後のことだけど、
気づいてからではその10年は取り戻せない。


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